【虫画像なし】羽アリの種類は?シロアリ・黒アリの特徴を紹介します
春先は、虫たちが活動し始める時期です。私たちがよく目にする黒アリも、他の虫と同じように暖かくなってきた頃から繁殖に向けて行動を開始します。
「家で羽アリを見かけるようになった」という声が徐々に増えてくるのもこの時期が一番多いです。そこで心配になるのが、家に発生している羽アリが害虫なのかそうでないのか、ということなのではないでしょうか。
そこで本記事では、家に発生している羽アリがどういった種類のものなのか、アリをあまり見ない人でも判別しやすいように、画像なしでわかる特徴を解説していきます。
自宅で発生している羽アリの種類判別や対策方法を調べる参考として、活用してくださいね。
羽アリは種類を見分けて対策を行う必要がある
家で羽アリを見かけることが増えてきたら、まずはその羽アリが、黒アリなのかシロアリなのかを判別する必要があります。なぜなら、種類によってはすでに家に被害が及んでいる可能性があるからです。
黒アリなら慌てる必要はありませんが、シロアリなら大問題です。
羽アリは、黒アリとシロアリのどちらからも発生するため、家への被害リスクを把握するためにも、まずはどちらの羽アリなのかを判別することが重要です。
羽アリを黒アリかシロアリか判断する方法
黒アリとシロアリは、一見同じ種類のように見えますが、よく見るとまったく違う特徴を持っています。
見分けるポイントは、「見た目」「発生時期」「発生場所」の3つです。次は、この3つのポイントについて解説していきます。
羽アリの見た目の特徴から見分ける
シロアリは「アリ」という名前がついていながら、実際はアリの仲間ではありません。生態がアリと似ているためシロアリと呼ばれていますが、ご先祖さまはゴキブリなので、ゴキブリの一種に分類されます。
黒アリとシロアリの明確な違いを以下の表にまとめました。
触角 | 羽 | 体 | |
シロアリ | ・数珠状 |
・網目模様が薄い |
・ずんどう |
黒アリ | ・折れている |
・頭の方が大きく、 お尻の方が小さい ・網目模様がはっきり見える |
・はっきりと くびれている |
発生した時期から見分ける
シロアリと黒アリの羽アリは、どちらも暖かい時期に発生します。時期から見分ける方法もあります。
しかし発生するタイミングや時間帯に若干の違いがあるため、羽アリに詳しくない人には難しいかもしれません。判別する基準の一つとして参考にしてみてください。
種類 | 発生時期 | |
シロアリ | 4月~11月 | |
ヤマトシロアリ | 春 | |
イエシロアリ | 初夏 | |
アメリカカンザイシロアリ | 春から秋 | |
黒アリ | 4月~10月 | |
イエヒメアリ | 春から夏 | |
トビイロケアリ | 夏 | |
オオズアリ | 夏 | |
ルリアリ | 夏 | |
ムネアカオオアリ | 春から初夏 | |
クロオオアリ | 春から初夏 | |
アルゼンチンアリ | 春から夏 |
発生場所の特徴
ヤマトシロアリ、イエシロアリは床下や基礎の部分などから蟻道を作り建物に侵入します。ヤマトシロアリは蟻道を通して地面から湿気をあげて餌となる木を湿らせながら食害することができ、比較的地面に近い範囲での被害が多いですが、稀に屋根までの被害も見られます。
イエシロアリは、水分を運ぶ能力が長けているため屋根までの被害も多く見られます。アメリカカンザイシロアリは、湿気に依存せず乾燥材の中で巣を作りファミリーを増やしていける能力があるため家中に巣が広がる傾向にあります。
アメリカカンザイシロアリを除けば、昔ながらの古いお風呂(タイルばりのお風呂)周りを餌場にしていることが多く見られます。他にもトイレや洗面所、台所周辺はシロアリの侵入経路です。庭やウッドデッキがある場合も、餌場にされる可能性が十分に考えられます。
アメリカカンザイシロアリを除けば、シロアリ、黒アリ共に家の中に巣を作ることは少なく、基本的には外で巣を作っていると考えられます。室内で見かけた羽アリが1〜2匹程度であれば、外からシロアリ、又は黒アリが家の中に入り込んできたということも考えられますが、その羽アリがアメリカカンザイシロアリであった場合はその逆で、家の中で巣を作っている可能性を疑う必要があります。そのため、羽アリの姿形で同定を行い、冷静に対処する必要があります。
シロアリの羽アリの種類
日本にいるシロアリの中でも、家に害をもたらす種類は主に3種類。シロアリの種類によって家への被害が異なります。見分けがつきにくいかもしれませんが、よく見るとそれぞれ大きさや色などに違いがあります。
次は、シロアリの見分け方について表にしました。自分の家に発生しているシロアリがどの種類のものなのか、判別する参考にしてくださいね。
ヤマトシロアリ
発生時期 | 春。前日に雨が降っていた晴れの日。 お昼前後が多い。 |
分布 | ほぼ日本全国 |
大きさ | 羽アリ:5〜7mm 働きアリ:4.5mmほど |
特徴 | 黒褐色で、頭の下(胴体部分)が黄色いため、 黄色のラインが入っているように見える。 |
危険度 | 比較的ゆっくりと家を食害する。 |
ヤマトシロアリは地中を移動して食害することから、「地下シロアリ」とも呼ばれています。大好物はセルロースで、台所やお風呂場などの水回りで見かけることが多いです。
イエシロアリ
発生時期 | 初夏。風のない日、夕方から夜間にかけて。 |
分布 | 関東以西の温暖な地域 |
大きさ | 羽アリ:7〜10mm 働きアリ:4〜6mm |
特徴 | 茶褐色 |
危険度 | 食害のスピードが速い。 大きいものだと100万頭ほどが住める巣を作る。 水を運ぶことが得意なため、 湿っていない場所までも食害する。 |
イエシロアリは、ヤマトシロアリと同じように地中を移動して巣を広げるため、同じく「地下シロアリ」と呼ばれています。好む環境や、セルロースが大好物なところなど、似ている点が多いので、発生場所が似ることが多いです。
アメリカカンザイシロアリ
発生時期 | 4月〜11月 |
分布 | 主に関東地方に多い。 現在では日本全国に分布している。 |
大きさ | 羽アリ:7〜10mm 働きアリ:7〜8mm |
特徴 | 赤褐色で、羽はやや黒っぽい。 |
危険度 | わずかな水分で繁殖することができ、 家の中に複数の巣を作ることがある。 食害スピードは遅いが繁殖率は絶大。 数年で家全体に被害が及んでいるケースも。 |
1976年に日本で発見されてから、徐々にその分布を広げているシロアリです。建物を食害しつつ、食害している木材自体に巣を作ります。家の中に多数の巣を作り、それぞれに女王アリが誕生することから、食害の規模が広範囲に及ぶ場合が多いです。
黒アリの羽アリの種類
黒アリの場合、家に直接の被害をもたらす種類は少ないです。しかし家の周辺に巣を作ってしまうと、家の中にまで黒アリが入ってくることがあります。
黒アリは種類によって巣を作る場所や繁殖方法が違ったり、駆除する方法が違います。黒アリ対策の参考にしてみてください。
イエヒメアリ
発生時期 | 春から夏 |
分布 | 本州、四国、南西諸島などの暖かい地方 |
大きさ | 2mm前後 |
特徴 | 淡黄色 |
危険度 | 壁紙やモルタルの隙間、 タンスなどに巣を作る家屋害虫の代名詞。 繁殖力が大きく、 家具の中のわずかな隙間に巣を作るため、 発見するのが難しい。 |
家屋害虫として有名な黒アリです。暖かい地方で多く見られる種類ですが、最近では寒い地方でも目撃されています。家具に巣を作ることが多いため、駆除が難しい害虫として有名です。
トビイロケアリ
発生時期 | 夏 |
分布 | 日本全国 |
大きさ | 2.5〜3.5mm |
特徴 | 胸部は、頭部と腹部に比べ若干淡色。 |
危険度 | 家に直接被害を与えることはない。 |
木材を食害することはないので、家に直接被害を与えることはありません。腐った木などに巣を作ります。トビイロケアリは巣にエサを運ぶ習慣がなく、蜜を吸って持ち帰ります。毒餌を使用して駆除する場合は、顆粒タイプのものではなく蜜タイプのものが最適です。
オオズアリ
発生時期 | 夏 |
分布 | 関東より南側から南西諸島にかけて |
大きさ | 兵アリ:3.5mm 働きアリ:3mm |
特徴 | 兵隊アリは体よりも頭の方が大きい。 |
危険度 | 日本でもメジャーなアリで、 家への被害はない。 |
オオズアリは日本でもメジャーなアリの1種です。林などに大きな巣を作り生活しているので、家に被害を加えることはありません。臆病な性格で、日々コツコツとエサを解体しています。
ルリアリ
発生時期 | 夏 |
分布 | 暖かい地方に多く分布。 一番北では埼玉あたりが限度。 |
大きさ | 2mmほど。 |
特徴 | 黒褐色で光沢がある。 足や触覚は濃い茶色。 |
危険度 | 家に直接被害を与えることはないが、 電子機器の中に巣を作られてしまった、 という例が増えてきている。 |
基本的には枯れ木や枯れ枝などに巣を作りますが、最近では屋内の電子機器に巣を作るというケースも増えてきています。電子機器内に巣を作るだけでなく、ケーブルを噛み切って故障させてしまう場合もあるため、家の中で発見した際は要注意です。
ムネアカオオアリ
発生時期 | 春から初夏 |
分布 | ほぼ日本全国、山林に多く生息。 |
大きさ | 日本でも1、2を争う大きなアリ。 働きアリは7〜12mm、 女王アリとなると18mmと大型。 |
特徴 | 全体的に黒色で、 胸のところが赤褐色。 |
危険度 | 家を食害することはないが、 木に穴を開けて巣を作るため、 家で見かけた際は 早急に駆除する必要がある。 |
ムネアカオオアリは、日本でも1、2を争う巨大なアリです。基本的には山の中に生息し、木に巣を作って生活しています。人間を噛むこともほとんどありません。しかし、家に発生した場合は、家の木材を切り開いて巣を作っている可能性があるので要注意です。
クロオオアリ
発生時期 | 春から初夏 |
分布 | 日本全国 |
大きさ | ムネアカオオアリと同等か それ以上の大きさのアリ。 働きアリは7〜12mm、 女王アリは18mmと巨大。 |
特徴 | 黒色 |
危険度 | 家への被害はなし。 |
その大きさから怖がられることが多いアリですが、家への被害はなく、公園や庭などひらけた日当たりの良い場所に巣を作って生活しています。巣穴自体も大きく、見つけやすいのが特徴です。
家に入ってくるときには、エサを求めて食べかすなどを取りに来ていることが多いです。網戸をしっかり閉める、食べカスをキレイに掃除する、などの予防で侵入を防ぐことができます。
アルゼンチンアリ
発生時期 | 春から夏 |
分布 | 目撃されている場所: 大阪府、山口県、愛知県、兵庫県、広島県など |
大きさ | 2.5mmほど |
特徴 | 濃い茶色…例えるならコーヒーのような色。 |
危険度 | 家への被害はない。 |
南米から日本にやってきた外来種です。人の物や衣服にくっついて分布を拡大しています。農業害虫として有名なアリで、果物やトウモロコシなどに被害を与えることがあります。
まとめ
一言で羽アリといっても、家への被害はその種類によってさまざまです。そのため、家で羽アリを見かけた際は、種類を特定することが重要です。
本記事では羽アリの見分け方について解説しましたが、「それでも見分けがつかない」という方には、シロアリポリスの「昆虫同定サービス」がおすすめ。
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